ビジネス契約の基礎知識 3 契約書作成時の具体的なポイント

トラブルが発生した場合を想定して

取引がうまくいっているときに、契約書に思いをはせる人はなかなかいません。予定通り物が届かなかったり、支払がなかったりしたときこそ、「さて、契約はどうなっている」となるもの。契約は、緊急時にこそ、その存在意義を発揮します。

ところが、実際に契約書を作成する局面では、この想像力を働かせることができていないケースが多々見られます。

ただ取引内容を特定するのに必要な項目を並べればよいというものではありません。

「この契約でトラブルがあるとすれば、どのような場合か」「どんな時に我が社が窮地に陥るか」

縁起でもない、と言われそうですが、いろいろと、最悪なケースを考えて見ればみるほど、必要な項目や内容も明確になってくるのです。

契約書作成時の基本的なポイント

1 明確性

契約書は、相手方に違ったことを言わせない、ということがポイントになります。そのためには、それぞれがどのような給付をしなければならないのか、当方から相手方に対し、いつまでに、どのようなことを、どのような形でするように要求できるのか、明確に記載することが最低限の要請です。

好意的に読めばわかる、ではなく、違った読み方を可能にしてしまっていないか、という視点でチェックしていきましょう。

2  漏れがないように

契約書には、取引に関わる重要事項を漏れなく記載することが求められます。

次のような点は、もれなく記載されているでしょうか。

・給付内容(具体的に対象となる商品やサービス)

・金額・支払条件

・納期

・履行方法

・契約期間と更新の条件

・損害賠償や解除の要件

3  秘密保持条項

契約関係を形成し、維持していく過程では、自社の強みをもって相手方を引きつけることも必要です。そのためには、自社の有する機密情報やノウハウなどの貴重な情報を提供することも多くあります。

これが漏洩することになったら、一大事です。対象となる「秘密」の定義をしっかり設けると共に、それを対象とする守秘条項、更には契約が終了した後もその効力が存続するとする残存条項などに目を配っていきます。

これらは契約書を作成する上でのごくごく基本的な点に過ぎません。契約に関する意識の高い企業とそうでない企業とでは、いざというときの打たれ強さが違います。契約の国際化の傾向に伴い、ますます企業間の出来不出来の差が広がっているのが現状です。

古い契約も含めて、一貫した視点を設定して、修正すべき点がないか、確認するようにしましょう。

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この記事を書いた人

内幸町国際総合法律事務所 共同代表弁護士。企業法務・労働法・入管法の実務30年超、取扱事件約5,000件。みずほ銀行・三菱UFJ・SMBC・りそな各総研、東京都労働相談情報センター等で年間約80回登壇。著書・監修約30冊。英検1級・TOEIC930点、英語での法律相談・執筆にも対応。

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