ビジネス契約の基礎知識  8 契約における損害賠償条項の考え方

 損害賠償条項は、契約違反や事故が発生した場合のリスクコントロールに不可欠な要素であり、適切な設計が企業の安定経営に直結します。実際、損害賠償の範囲や金額、責任制限などを巡ってトラブルが多発するため、条項の設計には高度な注意が必要です。

 民法上は、債務不履行や不法行為による損害発生時、原則として、そのような事象から通常発生しうるといえる通常損害、および特別損害であっても予見すべきといえる範囲が賠償対象となります。この損害の類型のどれに、問題となっている損害が属するのか、また、それが予見すべきものと言えるか否かは、当事者間で意見が異なることも多くあり、契約書上、何らかの対処がなされていることが望ましいです。

 例えば、契約書でこれらの範囲や賠償額、責任の限定・免責を明確に規定することで、予期せぬ高額賠償リスクを回避できます。

 次に、実務でよく用いられる損害賠償条項の例を見ていきましょう。

1 賠償範囲の限定

 「本契約に関連して生じた直接かつ現実の損害に限り賠償責任を負う」といった表現で、間接損害や逸失利益、特別損害を除外すること多く見られます。

2 賠償額の上限設定

 賠償額に上限を設けることで、予想外の高額請求リスクを抑制できます。

3 免責事由の明記

 どこまでを免責事由に当たるかについての解釈は、立場によって大きく異なるものです。天災地変や不可抗力、第三者の責めに帰すべき事由など、当事者の責任を免除する場合を明確にします。

4 故意・重過失に対する特則

 軽過失の場合と異なり、故意または重過失の場合は責任制限や免責が適用されない旨を定めることが多いです。

損害賠償条項設計の実務ポイント

 どのような損害賠償に関する条項が好ましいかは、その契約における立場によって異なります。契約ごとに、自社がどのようなトラブルに見舞われる可能性があるかを考え、契約リスクをコントロールすることが極めて重要です。

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この記事を書いた人

内幸町国際総合法律事務所 共同代表弁護士。企業法務・労働法・入管法の実務30年超、取扱事件約5,000件。みずほ銀行・三菱UFJ・SMBC・りそな各総研、東京都労働相談情報センター等で年間約80回登壇。著書・監修約30冊。英検1級・TOEIC930点、英語での法律相談・執筆にも対応。

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